年齢を重ねるにつれて感じやすくなる、肌のゴワつきや硬さ。しっかり保湿しているのに柔らかくならない、触れたときのしなやかさがない。
その原因は、潤い不足だけではないかもしれません。「Nラボ」が着目したのは、年齢とともに角層へたまっていく「カルボニル化タンパク質」です。
酸化した皮脂とタンパク質から生まれる「硬化汚れ」
肌表面の皮脂は、紫外線や外気などの影響を受けて酸化します。酸化した脂質は、そのまま肌の上にとどまるだけでなく、角層細胞のタンパク質と結びついて、その構造を変えてしまいます。この変性した状態が「タンパク質のカルボニル化」です。
カルボニル化したタンパク質には、黄褐色を帯び、柔軟性を失って硬くなる性質があります。つまり角層の中では、硬さの原因と色みの変化が同時に生まれている可能性があります。
「Nラボ」では、角層にたまって肌の硬さやゴワつきにつながるカルボニル化タンパク質を「硬化汚れ」と呼んでいます。
硬化汚れが少ない角層と、硬化汚れがたまった角層の違い
一般的な皮脂汚れとは違う、“落としにくい汚れ”
皮脂や外気中の汚れは、肌の表面に付着している状態です。そのため、日々の洗顔で落とすことができます。
一方の硬化汚れは、角層タンパク質そのものが変性し、硬くなった状態です。汚れが肌に付着しているのではなく、角層の一部が硬く変わってしまっているため、表面の皮脂や汚れを洗い流すだけでは、硬さやゴワつきが残ってしまいます。
「Nラボ」では、こうした硬化汚れを、大人の肌特有の“落としにくい汚れ”と捉えています。
313名の角層解析:カルボニル化は年齢とともに増える
肌の抗酸化機能は加齢とともに低下する傾向があり、酸化による影響も蓄積しやすくなります。そこで「Nラボ」では、20〜60代の313名を対象に、角層タンパク質のカルボニル化度を測定しました。
その結果、カルボニル化度は年代が上がるにつれて上昇する傾向が確認されました。硬化汚れは、ある日突然あらわれるものではなく、年齢を重ねるなかで少しずつ積み重なっていきます。
年代別の角層タンパク質のカルボニル化度(20〜60代・n=313)
蓄積量が多い肌ほど、柔軟性が低い
続いて313名を、カルボニル化度の低い群(n=157)と高い群(n=156)に分け、肌の柔軟性を比較しました。その結果、カルボニル化度が高い群では、低い群と比べて肌の柔軟性が有意に低いことが確認されました(p<0.001)。
[角層タンパク質のカルボニル化度と肌柔軟性の関係]
硬化汚れの蓄積は、年齢とともに増えるだけでなく、実際に触れたときの肌の硬さとも関係することが示唆されました。大人の肌のゴワつきには、乾燥やターンオーバーの遅れだけでなく、酸化して変性したタンパク質の蓄積も関わっている可能性があります。
角層が硬くなると、ハリ感も失われる
肌のハリは、真皮のコラーゲンやエラスチンだけで決まるものではありません。触れたときに感じる柔らかさや弾力、押し返すような感触には、最も外側にある角層の状態も関わっています。
硬化汚れがたまると、角層細胞そのものが硬くなり、角層全体の柔軟性が低下します。すると、内側にハリがあっても肌表面のしなやかさが失われ、触れたときのハリ感を感じにくくなります。
大人のハリを考えるうえでは、内側からハリを生み出すことに加えて、肌表面にたまった硬化汚れを取り除き、角層を柔らかく整えることも重要です。
なぜ硬化汚れは居座り続けるのか
カルボニル化タンパク質は角層の一部なので、本来はターンオーバーに伴って古い角質とともに剥がれ落ちていきます。ところが、年齢を重ねた肌では、硬くなった古い角質が剥がれにくくなり、硬化汚れとして肌表面に蓄積していきます。
そのため、与えるケアの前に、まずは肌表面に居座る硬化汚れを取り除くことが大切です。硬化汚れが剥がれにくくなるメカニズムと、それを外側から補うアプローチについては、次の記事でご紹介します。
「Nラボ」はこれからも、大人の角層で起きている変化を明らかにし、洗顔から肌のハリを支える新しい研究を進めてまいります。
※「硬化汚れ」は、角層に蓄積し、肌の硬さやゴワつきにつながるカルボニル化タンパク質を表した「Nラボ」 独自の呼称です。
